2017年9月6日
【シリーズ13】遺産分割の禁止ってどういうこと? ~相続発生前の対策/遺言書等による対策⑥~
【シリーズ13】 遺産分割の禁止ってどういうこと? ~相続発生前の対策/遺言書等による対策⑥~
被相続人が死亡後に、遺産分割を禁止できるのは、共同相続人間で遺産の分割を禁止する合意をする場合、遺産の範囲が未確定であることや遺産状態が即時の分割に適しない等の特別な事由があり、家庭裁判所が遺産の分割を禁ずる場合の他、生前に被相続人が遺言で遺産分割を禁止することも可能です。
相続開始時から5年を超えない期間という制限がありますが、事業用財産や特例の者の居住する不動産がある場合で直ちに分割すると不都合が生じることが予測される場合に遺言による遺産分割の禁止をすることにより、生前の状況を維持することが可能となります。
効果とリスク
<効果>
・遺産の全部又は一部を分割しない方がよい事情がある場合、相続開始後も一定期間、生前の状況を維持することができる。
・相続財産で事業を行っている場合、分割を禁止することで、禁止の期間、事業を継続できる。
<注意>
・遺言で遺産の分割禁止をする場合、相続開始の時から5年を超えない期間としなければならない。
・相続人の合意があれば、さらに5年間の分割禁止の合意が可能である。
<リスク>
・禁止期間後は、分割請求が可能となり事業の継続が困難となるリスクがある。
・遺言で遺産分割の禁止があると、未分割での申告となり、禁止期間によっては、「配偶者の税額軽減規定」、「小規模宅地等の特例」などの特例が受けられないリスクがある。