2017年11月1日
【シリーズ49】 不動産の時効取得に関する対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
【シリーズ49】 不動産の時効取得に関する対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
相続が発生した場合、相続財産を確定する中で不動産の時効取得が問題になることがあります。
不動産の時効取得とは、一定期間他人の不動産を占有することで所有権の取得を認めるものです。そこで、被相続人が一定期間占有している他人の不動産について時効取得が成立しないか、あるいは、被相続人の不動産について他人が一定期間占有していて時効取得が成立しないかに留意する必要があります。
後者の場合、相続開始後6か月以内に時効中断の措置をとるなどして第三者の時効取得を阻止しておくことが有効な方策です。
効果とリスク
<効果>
・被相続人が一定期間占有している他人の不動産がある場合、時効を援用して所有権を取得しておくことで、相続財産とすることができる。
・相続財産の中に他人が占有している不動産がある場合、相続人が確定した時より6か月を経過するまでの間は時効が停止され、時効は完成しない。
・相続開始後、時効中断の措置をとることで第三者の時効取得を阻止し、相続財産を維持・管理し続けることができる。
<注意>
・時効取得が認められるためには、一定の要件を満たす必要があり、占有開始時に善意占有であったか悪意占有であったかにより、時効期間に違いがある。
・他主占有の場合、相続により、自主占有に転換しておく必要がある。
<リスク>
・訴訟になる場合、占有開始の時点の立証等が必要になり、時効取得する側でこれを立証できないと時効取得が認められないおそれがある。