2017年11月2日

【シリーズ50】 小規模宅地等の特例を利用するための事前対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~

【シリーズ50】 小規模宅地等の特例を利用するための事前対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~

小規模宅地等の特例は、宅地の相続税評価に大きな減額効果があるため、その適用要件は厳格に定められています。また、どの宅地について適用を受けるかを納税者が自由に選択することができるため、特例を適用する宅地の選択や組み合わせにより相続税額が大きく変わってきます。

相続発生時に一番有利な選択ができるよう、要件の整備を進め、また二次相続の際の小規模宅地等の特例の利用についても想定が必要です。

なお、相続税の申告期限までに分割されていない宅地等については特例が適用できないため財産の分け方をめぐって揉めないようにしておくことも重要です。

 

 

効果とリスク

 

<効果>

・将来、自宅を相続する者が被相続人となる者と同居しておくと、自宅の敷地が特定居住用宅地等に該当し、敷地の相続税評価額を80%減額することができる。

・被相続人となる者(又は被相続人となる者と生計を一にする親族)の事業に使用されている敷地で、相続人となる者が事業を継続すると、その敷地が特定事業用宅地等に該当し、敷地の相続税評価額を80%減額することができる。

・アパート・マンション等の貸家を建てると、その敷地が貸付事業用宅地等に該当し、敷地の相続税評価額を50%減額することができる。

 

<注意>

・宅地等とするためには、被相続人となる者等が同族会社の株式等の50%超を保有し、相続人となる者が役員になり、その敷地等を申告期限まで所有していなければならない。

・駐車場の敷地を貸付事業用宅地等とするためには、アスファルト舗装やフェンスの設置をしなければならない。

・特例の適用を受けるためには相続税の申告期限までに分割されていなければならない。

 

<リスク>

・小規模宅地等の特例の適用が受けられる宅地等について生前贈与を行ってしまうと、生前贈与による相続税の節税効果よりも小規模宅地等の特例の適用を受けられないマイナスの方が大きい場合がある。

・特定居住用宅地等について配偶者が取得する見込みの場合には、事前に贈与税の配偶者控除の適用を検討しておかなければ納税者に不利になる場合がある。

 

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