2017年11月13日
【シリーズ56】 不動産管理会社の設立 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
【シリーズ56】 不動産管理会社の設立 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
賃貸用の不動産を所有する資産家が不動産管理会社を設立しているケースは多いのですが、その種類や実態は一様ではありません。中には不動産管理会社を設立したもののその効果をほとんど得られていない会社も多くあります。効果的な会社運営を行うことにより、相続税・所得税の対策や将来の相続税納税資金の確保にも繋がります。
効果とリスク
<効果>
・不動産収入を不動産管理会社へ移転することで、相続財産の増加を抑制できる。
・不動産管理会社に移転した収入を役員給与として将来の相続人に支払うことで、納税資金の原資となる。
・後継者である相続人に不動産管理会社の株式を持たせることにより、会社に蓄積された財産が後継者のものとなり、オーナーである被相続人の相続財産ではなくなる。
・不動産所得方式を採用した場合に「土地の無償返還に関する届出書」を提出することで、相続が発生した場合の土地の相続税評価が20%減額となる。
<注意>
・不動産管理会社の設立方法(管理会社の種類、出資者を誰にするかなど)を検討しなければならない。
・不動産を会社へ売却する場合、価格の妥当性、所有権移転に伴うコストを検討しなければならない。
・不動産管理会社に支払う管理料の水準が高すぎると、税務調査で否認されることがある。
<リスク>
・不動産管理会社に移転できる所得が少額な場合には、コスト(会社設立費用、法人は赤字の場合も税負担、法人税申告の費用、社会保険への強制加入など)が対策効果を上回る。
・不動産所得方式を採用して3年以内に相続が発生した場合、建物の評価額が建築価額となるなど、短期間で相続が発生すると相続税の計算で不利になる。