2017年11月20日
【シリーズ62】 農地等に係る相続税の納税猶予制度を利用するための事前対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
【シリーズ62】 農地等に係る相続税の納税猶予制度を利用するための事前対策 ~相続発生前の対策/不動産をめぐる対策~
農地等の相続税の納税猶予制度については、猶予を受けられる代わりに市街化区域以外の農地及び都市営農農地等については農業相続人の終生営農が義務付けられており、相続発生前においても終生営農継続の困難性を農業相続人がきちんと理解し、継続要件についてしっかりと確認しておくことが大切です。
また、小作農地について相続が発生してしまうと農地所有者(地主)は納税猶予が受けられないなど大きなデメリットが生じてしまいます。耕作権者にとっても農業後継者がいないとその権利が消滅するのではとの不安がでてきます。これらを踏まえ、小作地解消を図るなどの対策が重要となってきます。
効果とリスク
<効果>
・小作に供している農地がある場合、農地と耕作権を交換して、被相続人となる者が農業に使用すると、農地の相続税の納税猶予制度を利用することができ、相続税の納税が猶予される。
・所有する農地が「都市営農農地等」の場合、農地の相続税の納税猶予制度を利用すると、農業相続人は終生営農しなければ相続税が免除されないが、「都市営農農地等」と三大都市圏の特定市以外の農地と交換すると、20年経てば相続税が免除される。
<注意>
・農地と耕作権又は農地と農地を交換する場合には、農地法に基づく許可を受けなければならない。
・農業相続人となる者は、一定の場合死亡の日まで農業を経営しなければならない。
<リスク>
・農地と耕作権又は農地と農地を交換する場合には、譲渡所得税が課税される(固定資産の交換特例を受けると課税されない。)。
・相続税の申告期限までに農地等が未分割の場合は特例の適用が受けられない。