2017年11月22日
【シリーズ64】 譲渡制限株式の相続人に対する売渡請求 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
【シリーズ64】 譲渡制限株式の相続人に対する売渡請求 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
譲渡制限のある株式を保有する株主に相続が発生した場合、会社は当該相続人に対し、その株式について売渡しを請求することができます。これにより、相続による株式の移転を阻止することができることから、譲渡制限株式の相続人に対する売渡請求は会社にとって好ましくない者が株主となることを防止するとともに、株式分散の防止への有効な対策となります。
効果とリスク
<効果>
・会社にとって不都合な者が株式を保有することを防止することができる。
・株式の分散を防止することができる。
<注意>
・あらかじめ定款に定めをしておかなければならない。
・相続があったことを知った日から1年以内に請求しなければならない。
・当事者間で協議が調った場合を除き、請求の日から20日以内に売買価格の決定の申立てを行わなければならない。
・剰余金の分配可能額を超える買取りはできない。
<リスク>
・売渡請求に係る株主総会において、利害関係人が有する議決権は行使できないため、残りの株主が支配株主となり、会社の経営権を奪われる可能性がある。
・売買価格の決定申立てには時間とコストがかかる。
・買取後期末までに生じた損失により期末に欠損が生じた場合、業務執行者に補填責任がかかる。