2017年11月29日
【シリーズ68】 自己株式の合意取得 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
【シリーズ68】 自己株式の合意取得 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
自己株式の取得は、平成18年5月の会社法施行においてその方法が緩和され、より機動的に取得できるようになりました。会社が自己株式を取得することで、会社の株主を整理し、経営者の議決権比率を高めることができ、相続対策の一環として有効に活用していくことができます。また、非上場株式の場合、相続をしても換金性は低い一方相続財産としては比較的高額に評価されるため、会社に買い取ってもらうことで納税資金を確保することもできます。本件では、株式を譲渡しようとする特定の株主との合意に基づいて会社が自己株式を取得する場合の方法・効果とリスクをみていきます。
効果とリスク
<効果>
・株主を整理でき、経営者の議決権比率を高めることができる。
・株式を相続した者にとっては納税資金を確保できる。
<注意>
・剰余金の分配可能額を超える買取りはできない。
・特定の株主から取得する場合は、株主総会の特別決議による承認を得なければならない。
・特定の株主から取得する場合、他の株主に対し売主追加請求権を付与しなければならない。
<リスク>
・高額所得者から自己株式を買い取った場合、みなし配当課税により譲渡者の税負担が重くなるおそれがある。
・時価よりも低額又は高額で買い取ったときには、特別な課税関係が生じる場合がある。