2017年12月5日
【シリーズ72】 自社株式の売却 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
【シリーズ72】 自社株式の売却 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
経営者が株式を売却すると、経営者の所有する株式が譲受人に移転し、経営者は売却代金を獲得します。経営者にとっては、所有する株式が減少しますので、保有する財産の総額は変わりません。しかし、比較的換価の難しい非上場会社の株式を保有しているより流動性の高い現金を手元に残しておく方が、新たな投資資金に充てることもできますし、相続時に相続人の納税資金として確保しておくこともできます。また、売却により後継者に株式を移転させれば、遺留分の問題も減少し円滑に経営権の承継を図ることも可能です。このように、自社株式の売却も相続対策として効果的に利用することができます。
効果とリスク
<効果>
・納税資金が確保できるとともに、遺産分けがしやすくなる。
・自分の意思で後継者に株式を移転することができる。
・売却代金を投資資金として活用することができる。
<注意>
・株式を誰に売却するかを十分検討しなければならない。
・譲渡益に対して所得税と住民税が課されてしまう。
・株式購入者に資力がなければならない。
<リスク>
・時価よりも低額又は高額で売却したときは、特別な課税関係が生じる場合がある。
・後継者以外の者にも売却すると、後継者への経営権の集中が難しくなる可能性がある。