2017年12月28日
【シリーズ89】 企業内承継の活用(MBO)~相続発生前の対策/企業オーナー等の対策~
【シリーズ89】 企業内承継の活用(MBO)~相続発生前の対策/企業オーナー等の対策~
非上場会社の同族会社の場合、事業は親族内で承継されるのが一般的ですが、何らかの事情で、会社を子に承継させられない場合、親族以外の者に事業を承継させることになります。
その方法としては、企業内で従業員に承継させる企業内承継(MBO)と、企業外の第三者に承継させる企業外承継(M&A)があります。
この点、従来、MBOによる事業承継は、資金面の問題から多くは活用されていなかったのですが、今後、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における金融支援の特例の施行に伴い、MBOによる事業承継が増加していく可能性があります。
効果とリスク
<効果>
・有能な後継者の選択肢が広がる。
・MBO等により従来からの経営陣や従業員が承継することにより、取引先や金融機関の安心が得られ、円滑に事業を継続できる。
・役員等が出資する会社を設立すれば、一部事業を残し、他の事業を親族外の役員に事業承継することができる。
・非上場株式を一気に換金できる。
<注意>
・事業を承継する経営陣は株式取得の資金を調達しなければならない。
・親族外に譲渡する非上場株式の時価を算定しなければならない。
<リスク>
・親族外の役員に事業譲渡する場合、資産・負債の移転について個々に手続きが必要となり、引き継ぐ従業員も個別に雇用契約が必要など、手続きが煩雑である。
・事業譲渡に対する法人税等が課税される。