2017年8月5日
【シリーズ1】バランスのよい相続対策とその進め方(相続対策の3つの視点) ~相続対策の効果とリスク①~
【シリーズ1】 バランスのよい相続対策とその進め方(相続対策の3つの視点) ~相続対策の効果とリスク①~
【相続対策の3つの視点】
相続対策を行う場合、一般的には、次の争続対策(相続間の争いへの対策)、納税対策、
節税対策といった3つの視点での対策があると言われています。
各視点のうち一つの視点で偏った対策をした場合に(例えば、節税に重きを置いて税
金を少なくしたり、土地の評価を下げるためマンションを建設する事例など)、他の視
点でみると、かえって逆効果(マンションの建築費の借入や収益悪化等の事情のため、
納税に充てるべき金銭の不足、財産の帰属をめぐって相続人間で対立が生じるなど)
となる場合も少なくありません。
仮に、対策を指導した専門家がその時点で完璧な相続対策をしたと思っていたとして
も、相続開始時は被相続人の死亡時点ですので、それまでに本人の財産状況の変化、
推定相続人の事情の変化、推定相続人の先立つ死亡、税法の改正、解釈の変更等の事
業の変化、推定相続人の先立つ死亡、税法の改正、解釈の変更等の事業の変化があっ
て対策の効果が薄くなる、かえってリスクが顕在化するという事態も生じうるものな
のです。
また、目先の相続対策を優先したために、被相続人の相続の対策としては問題がなか
ったものの、被相続人が死亡した後の二次相続が生じた場合に、不都合が生じる事案
もよく見受けられるところです。対象となっている相続だけではなく、二次相続を含
め将来の相続を見通した対策とするのが望ましいといえるでしょう。
相続対策を指導する専門家としては、個々の対策の効果とリスクを十分に理解した上
で、全体の財産状況と事案に応じて各対策の視点をバランスよく配慮した提案を行う
必要があります。