2017年10月4日

【シリーズ30】 農地の贈与税の納税猶予制度の活用 ~相続発生前の対策/贈与による対策~

【シリーズ30】 農地の贈与税の納税猶予制度の活用 ~相続発生前の対策/贈与による対策~

農業を営む個人が農業の用に供している農地等を、農業を引き継ぐ推定相続人のうちの1人に一括贈与した場合には、その贈与を受けた推定相続人が農業を営んでいる限り、その農地等に係る贈与税の納税が猶予されます。

 

この適用を受けた場合において、その贈与をした個人又は贈与を受けた推定相続人が死亡した場合にはその納税が免除されます。ただし、その贈与をした個人の死亡により免除を受けた場合はその推定相続人がその農地等を相続開始日現在の価額で相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されることになります(一定の要件を満たせば農地等の相続税の納税猶予の適用があります。)。

 

 

 

効果とリスク

 

<効果>

・贈与税の納税が猶予される。

・納税猶予期間中に贈与者が死亡した場合や贈与者の死亡前に受贈者が死亡した場合は、納税猶予額が免除される。

 

<注意>

・農地の一部贈与や複数人への贈与の場合は利用できない。

・贈与者が死亡した場合は、贈与税の納税猶予額は免除されるが、相続開始時の価額で相続税が課されることとなる(ただし、相続税の納税猶予制度の対象にはなる。)。

・「贈与税の納税猶予取りやめ届出書」の提出により贈与税の納税猶予を任意に取りやめることができる。ただし、この場合には猶予期限内に贈与税の納税猶予額に利子税を併せて納付する必要がある。

・適用を受けるためには担保を提供する必要がある。

・3年ごとに引き続き納税猶予の適用を受けたい旨を記載した継続届出書を提出しなければならない。

・納税猶予期間中に農業経営を廃止するなどの継続要件を欠いた場合は、猶予期限(事実が生じた日の翌日から2月以内)が確定し、納税猶予額に利子税を併せて納付しなければならない。

 

<リスク>

・納税猶予の継続要件として、農業経営の廃止や対象農地の譲渡や転用について制限を受ける。

・納税猶予額の全部又は一部について納税猶予期限が打ち切りとなった際には、本来の申告期限から納税猶予期限までの期間について利子税が遡って課税される。

 

 

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