2017年11月24日
【シリーズ65】 議決権制限株式の活用 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
【シリーズ65】 議決権制限株式の活用 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
議決権制限のある株式は、その株式を有する株主の株主総会における議決権行使を制限しますので、後継者以外の株主の議決権行使を制限することにより、経営権を後継者に集中させたい場合に有効に活用することができます。また、議決権制限株式は、株式に付された権利のうち財産権は手元に残ることから当該株主の理解も得やすく、また、制限の範囲も株式の一部のみ制限を付したり、決議事項の一部の議決権に制限を課したりすることができるため、柔軟な対応が可能となりますので、議決権制限株式の活用は、相続による事業承継を行う上で後継者に経営権を集中させる有効な方法といえます。
効果とリスク
<効果>
・あらかじめ議決権制限株式を発行しておけば、相続開始後に後継者以外の相続人に議決権制限株式を取得させることにより、後継者に経営権を集中させることができる。
・現経営者の保有する普通株式の一部を議決権制限株式に変更しておき、相続が発生した場合に、後継者には普通株式を、その他の相続人には議決権制限株式を相続させることにより、後継者に経営権を集中させることができる。
<注意>
・所定の事項を定款で定めなければならない。
・公開会社においては、議決権制限株式は発行済株式の2分の1を超えて発行することができない。
・非後継者の理解が得られるよう、議決権を制限する代わりに優先的に配当を行うなどの手当てをしなければならない。
<リスク>
・経営者が保有している株式の一部を議決権制限株式に変更すると、他の株主の議決権比率が相対的に上昇するため、経営権が保持できなくなるおそれがある。