2017年11月28日
【シリーズ67】 属人的株式の活用 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
【シリーズ67】 属人的株式の活用 ~相続発生前の対策/株式をめぐる対策~
株主は、株主平等の原則により、株式の内容及び数に応じて平等に扱われるのが原則です。しかし、会社法では、非公開会社の場合に限り、定款に定めることにより、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権について、株主ごとに異なる取扱いをすることが認められています。これらの株式は、属人的株式と呼ばれており、例えば保有する株式数に関係なく一人一個の議決権を有するなどの取扱いができます。そして、その株主ごとの異なる取扱いの内容によっては、うまく後継者に議決権を集中させることが可能となることから、事業承継の有効な手段となります。
効果とリスク
<効果>
・後継者へ議決権を集中させることができる。
・登記に記載されないので属人的株式の内容を公開せずに定めることができる。
<注意>
・株主ごとに異なる取扱いの内容をあらかじめ検討しておかなければならない。
・定款の変更にあたっては、株主総会の特殊決議による承認を得なければならない。
・剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えないと定めることはできない。
・当該株主に相続が生じた場合の属人的な取扱いをどのようにするかをあらかじめ検討しておかなければならない。
・公開会社の場合は利用できない。
<リスク>
・評価方法について判例が少なく事例の蓄積がない。
・属人的株式の内容によっては他の株主を害する。