2018年1月16日
【シリーズ96】 推定相続人の廃除~相続発生前の対策/その他の対策~
【シリーズ96】 推定相続人の廃除~相続発生前の対策/その他の対策~
推定相続人とは、相続が開始した時に相続人となるべき者のことをいいますが、廃除の対象となるのは、「遺留分を有する推定相続人」に限られ、具体的に兄弟姉妹は遺留分を持たないため廃除の対象にはなりません。
相続財産を遺す者、すなわち被相続人の意思によって、この「遺留分を有する推定相続人」から相続権を奪う制度を「推定相続人の廃除」といいます。
廃除の手続は、家庭裁判所に対する申立てにより行い、調停若しくは審判を経て、認められれば被廃除者の相続権は失われます。
効果とリスク
<効果>
・廃除された推定相続人は初めから相続人ではなかったものとされ、遺留分の権利も全て失うため、遺産分割をスムーズに進めることができる。
・廃除対象者が同意しない場合や、所在不明の場合でも、手続を進めることができる。
<注意>
・家庭裁判所への申立てが必要。
・法的効果が多大なため、些細な理由では認められない。
・廃除の効果は代襲相続には影響しない。
・一度廃除された相続人であっても、「推定相続人の廃除の取消し」によって相続権は回復する。
・兄弟姉妹が推定相続人であっても「推定相続人の廃除」はできない。
<リスク>
・廃除された推定相続人が死亡した場合、その代襲相続人には廃除の効果が及ばないため、その代襲相続人からの相続権の主張を否定できない。
・遺言で廃除する場合、遺言執行者を定めておかないと、円滑・適切な遺言執行が防げられるおそれがある。